
この記事で学ぶこと
- Mantaflowによる流体(Liquid)と煙・炎(Gas)シミュレーションの基礎構造
- DomainやFlowオブジェクトの基本設定
- パラメータ(解像度、時間スケール、ステップ数など)の意味と調整のコツ
- 実践課題:コップから水がこぼれ落ちるシーン+煙の立ち上がり表現
- ベイク設定やトラブル時の改善方法
1. Mantaflowとは?
Blender 2.82以降に搭載されたMantaflowは、流体と煙・炎の両方を扱える統合シミュレーションエンジンで、よりリアルな再現と高度な制御が可能です
2. DomainとFlowの構成
Domain(領域)
- Cubeをシーンに追加 → Physicsタブ → Fluidタイプ:Domain
- Typeを Liquid(流体)または Gas(煙・炎)に切り替え
- Resolution Divisions(解像度):ドメイン内を細かく分割。数値が高いほどリアル、遅くなる
docs.blender.org+1community.gamedev.tv+1 - Time Scale/Adaptive Time Steps/CFL Number:シミュレーション速度や精度を管理
docs.blender.org
Flow(流体発生元)
- メッシュに Physics → Fluid → Flow を追加
- Typeを Liquid、Gas、または Fire + Smoke に設定
- Behavior を Inflow(継続供給)か Geometry(初期形状)に選択

3. 実践課題①:コップから水がこぼれるシーン
- コップ型オブジェクトをEffector(Liquid, Geometry)に設定
- DomainにLiquidを設定
- Resolutionを 64〜128 に設定し、適切なドメインサイズを維持
- 再生/調整:Time Scaleや解像度を調整しながら好みの見た目(マテリアル)を設定

各種設定

4. 実践課題②:煙と炎を立ち上げるシーン
- Ico Sphereに細分化、ディスプレイスモディファイア(テクスチャクラウド)を設定
- Ico SphereにFlow(Fire + Smoke)とForce Fieldを設定
- DomainのTypeをGasに変更
- Domainにマテリアルを設定
- 炎や煙が好みの見た目になるように各数値(Density,Fuel等)の調整やキーフレームを設定

各種設定

Domainのマテリアルの設定

5. パラメータ調整のポイント
項目 | 効果 |
---|---|
Resolution Divisions | 解像度・パフォーマンス |
Time Scale | 早送り・スローモーション |
Adaptive Time Steps & Substeps | 安定性 |
CFL Number | 高速流体の精度 |
Viscosity(液体) | 粘性の強さ(牛乳・粘土風表現などに有効)blender.stackexchange.com+11reddit.com+11developer.blender.org+11 |
Vorticity/Noise(煙) | 渦流やディテールの増加 |
6. トラブル対処&ヒント
- シミュレーションが荒い/泡立たない? → 解像度やSubstepsを上げる
- 水が消える? → Domainを広くしすぎない/境界方法の確認
- 炎がレンダリングされない? → Blackbody Intensityを上げる
- パフォーマンスが遅い? → Domainサイズ削減/Replay Cacheでプレビュー
参考動画
- Fluid Simulation (Mantaflow) Domain Settings, Blender 3.2基礎
reddit.com
docs.blender.org+15youtube.com+15youtube.com+15 - Mantaflow Smoke & Fire Guides、解説系プレイリスト
blender.stackexchange.com - Mantaflow Smoke Domains:Vorticityやノイズ設定の詳細
docs.blender.org
まとめ
- Mantaflowでの流体・煙・炎設定の基本を理解
- DomainとFlowの関係・役割を整理
- Resolution/Time Scale/Noiseなど重要パラメータを把握
- 実践課題を通じてベイクやトラブル対処の基礎を習得
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